新宿区労連第35回定期大会 10月7日開催 議長あいさつ |
2023/10/11 |
議長あいさつ
3年ぶりに1日開催となった第35回定期大会に参加いただいた皆さん、大変ありがとうございます。そしてこれまでコロナ禍の中で制約された組合・労働運動に奮闘いただいた皆さんに心より敬意を表します。コロナが5類となって、公の支援がなくなった今、またエリスという新型が増えてじわじわと第9波になってきています。10月以降に7回目のワクチン接種が受けられますが、費用負担のないのはこれが最後です。急激に秋めいてきたこの時期、今後とも体調の管理には十分、お気を付けください。
<情勢について>
情勢について若干の補足をしたいと思います。
失われた30年と言われます。東京新聞が5月に掲載した「データでみる失われた30年」という特集では、「企業の時価総額ランキング」で、日本の企業は1989年にトップ10に7社も入っているのに2023年には1社もなく、トップ100でも39位のトヨタだけという日本企業の凋落ぶりを象徴するようなデータです。戦後の日本は復興を成し遂げ、高度経済成長によって1968年には国民総生産(GNP)でアメリカに次いで世界第2位となりました。『Japan as No.1』(ジャパンアズナンバーワン)という本が出版されたのは1979年です。それからの10年間、1989年までが戦後日本の絶頂期だったといわれています。
そして1991年から2022年までの約30年間は、絶頂期を取り戻すかのように財界や大企業の要求に応じて消費税による増税、社会保障費の削減、度重なる労働法制の規制緩和で雇用破壊を進め、不安定な非正規労働者を増やし、労働者の賃金は上がらず、今では4割が非正規労働者となっています。こうした大企業の利益優先の経済政策が、現在511兆円という膨大な内部留保をため込み、格差を広げてきたといえます。
この10月4日で2年目になった岸田政権は、安倍政権による2015年の戦争法制定の時、国民的な反対運動が巻き起こって、大きな反対運動が展開されたことから、これを避けようとして有識者会議での密室審議を優先し、安保3文書を閣議決定した後に通常国会に提出するという、姑息なやり方をとりました。そのため、大軍拡についての国民の理解は深まらず、国会審議も低調に終わりました。原発政策の転換、方針も同様です。このように重要法案や政策を閣議決定で決めてしまい、「聞く力」どころか、国会論議を軽視するという、今まで以上に危険な政権だといわなければなりません。
<一年の組合運動について>
ストライキやデモは労働組合の運動を広く国民に知らせるための、労働組合の団体行動権として憲法上保障された権利です。
先ごろ西武デパートの60年ぶりのストライキが注目されました。アメリカでは三大自動車企業の労働者のストライキに、バイデン大統領やトランプ氏が支援のための連帯のあいさつをするという、日本では考えられない光景が報道されました。またハリウッドではアメリカの脚本家らが加盟する全米脚本家組合は賃上げや人工知能=AIの活用制限などを求め、今年5月からおよそ5か月間ストライキを続け、ようやく9/26,制作会社側と暫定で合意しました。ただ、脚本家のストは終わりましたが、映画俳優組合のストライキはまだ続いています。
さて、この一年の新宿区労連の運動はどうだったでしょうか。
私たちはこの新宿で11年間、西部ブロックの皆さんと最低賃金引上げアピールデモを行ってきました。今年度の最賃引上げ運動は従来になく全国的な規模で展開され、新宿でも全労連をはじめ、東京地評、春闘共闘などともにサウンドデモの形で沿道に熱くアピールしました。今年は全国平均で初めて1000円を超えましたが、今の物価高には追い付かず、一刻も早く全国一律1500円を勝ち取らなければなりません。岸田首相のいう2030年半ばまで到底待つことはできません。
各組合からは、3年越しのコロナ禍の中で様々な工夫をしながら、何とか組合員との交流をもち、職場からのアンケートを集めて要求を練り上げ、産別や地域とともにストライキを構えて春闘をたたかい、従来にない賃上げを勝ち取った経験が報告されています。
また労働組合全体の組織人員減少の中で、各組合とも組織強化について積極的な位置づけをし、取り組みが行われています。職場の労働者への世話焼き活動や、早朝の社前ビラ配布、同業の未組織職場の訪問活動など、多くの経験も報告されています。区労連も定期的に会議を開いてさまざまな取り組みを検討しています。今期は特にすべての加盟組合の訪問・対話活動を年間方針として位置づけ、これまで初めての組合といくつか訪問・対話をすることができ、お互いに交流できたことで、距離がちぢまったと実感しています。
このようにそれぞれの職場での取り組みは、職場の労働環境や、労働者の生活向上を勝ち取るだけではなく、多くの労働組合との連帯、共闘の中で、すべての労働者の働き方そのものを改善していくための、制度・政策要求につながっていることに、私たちは確信を持ちたいと思います。
<労働組合運動の可視化、学習教育>
今年も東京版変えるリーフ第3弾の配布活動に取り組み、今年の2月、3月で戸山ハイツ、百人町地域、早稲田地域、加盟組合地域など12000枚で配布を完了しました。ご協力に感謝申し上げます。地域で「労働組合に入ろう」という宣伝行動も定期的に行っています。今年は、3年ぶりに新春の集いを開きました。女性落語家の笹の家小夏さんを招いて古典の「初天神」の内容を、ジェンダー平等に気づかせるように改作した「ジェンダー落語」を披露してもらい、会場を爆笑で沸かせました。またお花見の時期には、予定した日が雨となったため、区労連事務所に集合し、モニターに桜並木をうつしながら、リアル交流を行いました。
TOYAMA講座という全労連のわくわく講座のテキストを利用した学習会も3年目となりました。学習教育委員会のメンバーが、各章の内容のチューターを交代で担当しています。チューターがテキストの内容以上のことを様々調べて報告するため、次第に内容が濃くなってきています。9月に行った学習会では、3章までの内容の「振り返り」として、それぞれの担当者が、担当したところの内容をテスト形式にして単語や、正しい項目や解説文章の正しいものを選ぶという問題を参加者に答えてもらう、ということをやりました。
<一致する要求運動>
今年も全労連、東京地評、国民春闘共闘、東京春闘共闘、新宿社会保障推進協議会、みんなの新宿をつくる会、東京一区市民連合、GJ西部連絡会などとの団体と、一致する要求での共同行動に参加してきました。私たちは様々な制度・政策要求の実現を勝ち取るために産別や地域、さらに多くの運動団体と一致する要求で連帯・結集した運動をさらに強化したいと思います。
<最後に>
冒頭や議案書でも述べたように、「新しい戦前」路線に突っ走る岸田政権の危険な専横政治を決して許さず、私たちはすべての労働者がこうした政治の行く先をしっかり見据えて、将来の日本社会をどのようにするべきか、労働組合として問いかけ、運動を強化していかなければならないと思います。組織の減少に歯止めをかけ、世代交代とともに組織の強化のために、これまでそれぞれの組合が経験し、取り組んできた運動を学びあい、さらに進めていくために、常任幹事会として奮闘することを申し上げて開会のあいさつとします。
新宿区労連は10月7日開催の35回定期大会を前に、加盟組合の率直な実態に耳を傾けようと、面談訪問を行っています。訪問は非常に喜ばれ、区労連と加盟組織との絆を深めています。地域労連の重要な課題として、最賃デモや労働相談活動を通して組合員を増やす取り組みや自治体に労働行政の充実を図る要請行動などを行っています。